そこで今回は、成人式に振袖を着る理由とともに、振袖の歴史や、成人式の歴史もあわせて詳しくご紹介します♪
成人式に振袖を着る理由は振袖が「未婚女性の第一礼装」とされているから
成人式に振袖を着る理由は、明治時代以降、振袖が「未婚女性の第一礼装」として定着しているからです。
日本には、古くから成人を祝う通過儀礼が存在していました。男子なら「元服」や「褌祝(ふんどしいわい)」、女子なら「裳着」や「結髪」がそれに当たり、それぞれ髪型や装いを変えて目に見える形で成長を祝い、大人になることへの自覚を芽生えさせる意味があったのです。
現在の成人式で振袖を着るのも、古くから存在する通過儀礼と同じく、装いを大きく変えて成人式を行うことで、成人を祝い、成人したことへの自覚を持たせるという意味があります。そんな式にふさわしい衣装が、未婚女性の第一礼装である振袖なのです!
また、美しく華やかな晴れ着である振袖を着ることで、親や周囲の人へ成長した姿を見せ、感謝を伝えるという意味合いもあります。
振袖の起源は\江戸時代/の女性の普段着「小袖」が変化したもの
そもそも、振袖が未婚女性の第一礼装とされたのはなぜなのかが気になる方もいるかもしれません。その歴史は、江戸時代にまでさかのぼります!
江戸時代の女性はふだん、「小袖」という袖の短い着物を着るのが一般的でした。しかし江戸時代初期~中期にかけて、小袖の袖丈はどんどんと長くなっていくのです!その理由についてはさまざまな説がありますが、有力な説は、
- 袖が長いほうが舞台上で美しく見えたから
- 江戸時代の踊り子は袖を振ることで感情を表現していたから
- 「振る」という動作には厄払いや清めの意味が込められていたから
の3つです。
江戸の踊り子たちが舞台上で踊りを披露するときは、着物の袖が長いほうが、所作が美しいといわれていました。
また、踊り子たちは袖を振ることで愛情を、袖にすがることで哀れみを表し、求愛を受けて「好き」と伝える場合は袂(たもと)を振り、「嫌い」と伝える場合は袂を前後に振ることで意思表示をしていたのです♡
こうした動作を一般庶民の未婚女性達も真似し始め、長い袖の着物は大流行します。
さらに「振る」という仕草には、古くから厄払いやお清めの意味が込められていて、よりご利益を得たいという考えからも、着物の袖が長くなっていったといわれているんです。
こうして江戸時代の女性の普段着だった「小袖」は、袖の長い「振袖」へと形を変え、江戸時代~明治時代にかけて正式に未婚女性の第一礼装となりました。
ですが、日常生活では袖が長いと勝手が悪いことから、明治時代以降は普段の生活で振袖を着ることはなくなり、次第に特別なときの「晴れ着」として着られるようになります。
こうした歴史的背景から、現在でも人生に一度の大切な通過儀礼「成人式」では、振袖が晴れ着として着られているのです。
成人式のルーツは第二次世界大戦後に埼玉県蕨市で行われた「青年祭」
振袖の起源について知ったなら、成人式のルーツについても詳しくみていきましょう☆
成人式のルーツは、第二次世界大戦に敗戦してすぐの1946年11月22日、埼玉県北足立郡蕨町(現在の埼玉県蕨市)で行われた「青年祭」というものだといわれています。
青年祭は、第二次世界大戦の敗戦で日本がつらく苦しい状態にいた当時、次の時代を担う青年たちに希望を持たせようと、当時の埼玉県蕨町の青年団長・高橋庄次郎さんが主唱者となって企画したものです。
そして、青年祭のプログラムの一つとして行われたのが「成年式」なんです。
この成年式に影響を受けた日本国政府は、1948年に公布・施行された祝日法によって、「大人になったことを自覚して自ら生き抜こうとする青年を祝う・励ます」という趣旨のもと、翌1949年1月15日を「成人の日」と制定しました。
そしてこの日に行われるようになったのが現在の「成人式」なんです!
※その後の1998年の祝日法改正にともない、2000年より成人の日は現在のとおり1月の第2月曜日へと移動